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Tuya, D.; 長家 康展
Journal of Nuclear Engineering (Internet), 4(4), p.691 - 710, 2023/11
モンテカルロ中性子輸送計算手法は、固有値や積分中性子束などの様々な量を正確に評価するために用いられる。しかし、ある分布量を求める場合、モンテカルロ法では連続的な分布が得られないのが一般的である。近年、モンテカルロ法で連続分布を得るために、関数展開法やカーネル密度推定法が開発されている。本論文では、モンテカルロ法によって得られた訓練データと人工ニューラルネットワーク(ANN)モデルを用いたある物理量に対する連続分布の推定手法を提案する。概念実証として、2つの核分裂体系における反復核分裂確率(IFP)の連続分布をANNモデルにより推定した。ANNモデルによるIFP分布を、元のデータセット及びPARTISNコードで得られた随伴角中性子束と比較した。比較の結果、一致や不一致の程度はさまざまであったが、ANNモデルはIFP分布の一般的な傾向を学習することを確認した。
Tuya, D.; 長家 康展
Annals of Nuclear Energy, 169, p.108919_1 - 108919_9, 2022/05
被引用回数:1 パーセンタイル:31.61(Nuclear Science & Technology)核分裂性物質の系に加えられる変化が固有値に与える影響を評価するには、摂動論と言われる特別な方法が必要である。この研究では、相関サンプリング(CS)法と随伴重み法に基づく繰り返し核分裂確率(IFP)を組み合わせることにより、近似を用いない厳密な摂動理論に基づく随伴重み相関サンプリング(AWCS)法を開発した。この厳密な摂動理論に基づいて開発されたAWCS法は、小さな摂動に対しても非常に小さい不確かさを与えるCS法の利点と連続エネルギモンテカルロ法に対して安定した結果を与えるIFP法に基づく随伴重み法の利点を有しており、摂動計算のための新しい正確な方法を与えるものである。開発されたAWCS法の検証のために行ったGodiva及び単純化されたSTACY数密度摂動問題の解析結果は、参照計算結果とよく一致をした。
宮原 直哉; 三輪 周平; 堀口 直樹; 佐藤 勇*; 逢坂 正彦
Journal of Nuclear Science and Technology, 56(2), p.228 - 240, 2019/02
被引用回数:7 パーセンタイル:61.94(Nuclear Science & Technology)軽水炉シビアアクシデント時のソースターム評価における核分裂生成物(FP)化学挙動評価モデルを高度化するため、FP化学データベース「ECUME」の初版を構築した。ECUMEには、代表的な事故シーケンスにおける主要な化学反応と、その実効的な化学反応速度定数を実装する計画である。初版においては、300-3000Kの温度領域におけるCs-I-B-Mo-O-H系の主要化学種に対し、それらの生成に係る化学反応の速度定数を文献調査または第一原理に基づく理論計算によって整備した。構築した化学反応データセットを用いた解析の一例として化学反応解析を実施した結果、1000Kにおいて有意な化学反応速度の効果が見られた。また、平衡に至った後の化学組成を化学平衡計算の結果と比較したところ、代表的なCs-I-B-Mo-O-H系化学種に対して良く整合する結果が得られた。これらの結果から、構築したデータセットは、速度論の考慮が必要なシビアアクシデント時のCs-I-B-Mo-O-H系FP化学挙動評価のために有用であるとの結論を得た。
福島 昌宏; 辻本 和文; 岡嶋 成晃
Journal of Nuclear Science and Technology, 54(7), p.795 - 805, 2017/07
被引用回数:10 パーセンタイル:69.28(Nuclear Science & Technology)FCAの複数の系統的に異なる中性子スペクトル場における7つのTRU核種(Np, Pu, Pu, Pu, Am, Am, Cm)の核分裂率比に関するベンチマークモデルを用いて、主要な核データライブラリ(JENDL-4.0, ENDF/B-VII.1, JEFF-3.2)に対する積分評価を行ったものである。いずれの主要核データライブラリによる解析値は、Cm対Pu核分裂比を大幅に過大評価することが示された。また、中間エネルギーの中性子スペクトル場におけるPu対Pu核分裂比に関して、核データ間で有意な差異があることが示され、感度解析によりこの原因について調査を行った。
福島 昌宏; 辻本 和文; 岡嶋 成晃
EPJ Web of Conferences, 111, p.07002_1 - 07002_5, 2016/03
被引用回数:2 パーセンタイル:81.17(Nuclear Science & Technology)高速炉臨界実験装置FCAでは、1980年代に7つのウラン炉心(FCA-IX炉心)において、7つのTRU核種( Np, Pu, Pu, Am, Am, Cm and Pu)に関する核分裂率比が測定された。FCA-IX炉心では、燃料領域が燃料及び希釈材の単純な組合せにより構成され、その混合割合の調整により炉心中心の中性子スペクトルが系統的に変化しているのが特徴である。FCA-IX炉心に関しては、近年、TRU核種の核分裂断面積の積分評価に資するため、これらの核分裂率比に関するベンチマークモデルが整備された。本研究では、本ベンチマークモデルの適用例として、モンテカルロ計算コードによるJENDL-4.0の積分評価を実施した。解析値と実験値に有意な差異が示され、TRU核種の核分裂断面積の評価・改善に期待できることが分かった。
福島 昌宏; 大泉 昭人; 岩元 大樹; 北村 康則
JAEA-Data/Code 2014-030, 50 Pages, 2015/03
1980年代に高速炉臨界実験装置FCAにおいてTRU核種断面積積分実験の一環として7つのウラン炉心(FCA-IX炉心)が構築され、マイナーアクチノイド(MA)を含む7つのTRU核種(Np, Pu, Pu, Pu, Am, Am, Cm)に関する核分裂率比が各炉心中心で測定された。FCA-IX炉心では、燃料プレート及び希釈材プレート(グラファイト又はステンレス)の単純な組合せにより燃料領域が構成され、その混合割合の調整により炉心中心の中性子スペクトルが系統的に変化しているのが特徴である。本報告書では、TRU核種の核分裂断面積の積分評価に資するため、同核分裂率比に関するベンチマーク問題を整備した。また、本ベンチマーク問題に対して、汎用評価済核データライブラリJENDL-4.0を用いて実施した解析結果も併せて報告する。
Lee, C. G.; 井口 一成; 江坂 文孝; 間柄 正明; 桜井 聡; 渡部 和男; 臼田 重和
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 245(2), p.440 - 444, 2006/04
被引用回数:8 パーセンタイル:50.31(Instruments & Instrumentation)保障措置環境試料中の極微細ウラン粒子の検出法として有効なフィッショントラック(FT)法では、ウラン粒子の検出効率は検出器の化学エッチング条件に大きく依存する。本研究では、核分裂性粒子含有FT検出器のエッチング挙動を調べる目的で、ウラン粒子を閉じこめたポリカーボネート製FT検出器を作製し、エッチング速度に対するウラン濃縮度の影響を調べた。エッチング速度は、エッチングによる検出器の重量変化から評価した。全体に、検出器の重量変化はウラン粒子の濃縮度に大きく依存し、高濃縮度のウラン粒子を含む検出器ほど重量減少は大きい。検出器の重量減少の挙動から、エッチング速度が異なる二つ領域の存在が明らかになった。エッチング初期の非線形挙動は、すべての検出器において飛跡が最初に現れるエッチング時間が非線形領域内にあることから、おもに飛跡の出現によると考えられる。その後の直線的な挙動は、出現した飛跡の拡大に対応している。また、粒子1個あたりに換算したエッチング速度は(濃縮度)に比例することがわかった。このような飛跡のエッチング挙動とウラン粒子の濃縮度との相関を利用することにより高濃縮度のウラン粒子だけを優先的に検出可能であることが示唆された。
遠藤 章; 山口 恭弘; 住田 健二*
Journal of Nuclear Science and Technology, 40(8), p.628 - 630, 2003/08
被引用回数:4 パーセンタイル:31.64(Nuclear Science & Technology)JCO臨界事故による被ばく線量の評価は、JCOの線モニタ,原研那珂研の中性子モニタ及び現場周辺で測定されたモニタリングデータに基づいて行われた。臨界継続中、事故現場から約1km離れた三菱原子燃料において、高感度の燃料集合体非破壊測定システム(UNCL)を用いた中性子計測が行われていたことがわかった。日本原子力学会JCO事故調査委員会はこのデータを入手し、委員会メンバーである著者らは、その解析から臨界に伴い発生した中性子強度の推移を評価した。その結果、事故発生から約1時間半後から臨界状態終息までの中性子強度の変化は、線モニタ,中性子モニタの記録と一致することが明らかとなった。本解析結果は、線量評価に用いられた線量率の時間推移に関するモデルが適切なものであったことを示している。
中根 佳弘; 坂本 幸夫
Proceedings of 5th Specialists' Meeting on Shielding Aspects of Accelerators, Targets and Irradiation Facilities (SATIF-5), p.241 - 252, 2000/00
加速器施設の放射線安全設計に用いられる粒子輸送計算コードについて、線量評価の精度検証に適した実験値は極めて少なく、実験的な検証がほとんど行われていない現状にある。本研究では中高エネルギー中性子に対する線量評価の精度検証に有用な実験値を取得することを目的に、TIARAの40及び65MeV準単色中性子入射による平板ファントム内吸収線量分布を測定し、粒子輸送計算コードによる解析結果と比較した。また中性子束の計算精度を確認するため、U核分裂反応率分布も測定し、解析値と比較した。その結果、ファントムの最も深い位置で核分裂反応率及び吸収線量値は実験と比べて最大で33%及び18%の過大となったものの、そのほかではおおむね16%及び10%以内で実験値を再現できることを明らかにし、得られた実権値がベンチマーク問題として有用であることを示した。
加藤 雄一*; 岡嶋 成晃; 桜井 健
JAERI-Data/Code 99-006, 71 Pages, 1999/03
実験と解析に必要なパラメータを計算するコードBETAを開発した。BETAは、Driven因子、中性子相関実験での空間補正因子(g因子)、随伴中性子束で重みづけたg因子、炉心全体の核分裂率、随伴中性子で重みづけた炉心全体の核分裂率を計算する。また、BETAは、種々の遅発中性子データから実行遅発中性子割合を計算する。これらの計算には、SLAROM,POPLARS,TWOTRAN-IIで得る中性子束、随伴中性子束に用いる。本レポートでは、BETAの入力データ及びJCLに関するマニュアル、計算に必要なファイル、入出力例を示した。
西谷 健夫; 海老沢 克之*; C.Walker*; 北 好夫*; 河西 敏; L.C.Johnson*
Proc. of Int. Workshop on Diagnostics for Experimental Fusion Reactors, p.491 - 500, 1998/00
従来のトカマクでは、真空容器外に置いた中性子モニターによって、全中性子発生量を測定しているが、ITERでは、ブランケットと真空容器の遮蔽効果のため、その方式では十分な精度で測定することはできない。そこで真空容器内に小型の核分裂計数管(マイクロフィッションチェンバー)を使用した、中性子モニターの設計を行った。中性子検出器を真空容器内に設置した場合、プラズマとその距離が近いので、プラズマの位置変動により、全中性子発生量に測定誤差が生じる恐れがある。そこで数本のマイクロフィッションチェンバーをプラズマをとり囲むように配置することによって位置変動によらず全中性子発生量を高精度で測定できることをモンテカルロ計算により示した。
中根 佳弘; 中島 宏; 坂本 幸夫; 田中 俊一
Radiat. Meas., 28(1-6), p.479 - 482, 1997/00
被引用回数:4 パーセンタイル:37.13(Nuclear Science & Technology)加速器施設の遮蔽計算に用いられる輸送計算コードの20~100MeV領域中性子に対する精度検証を目的として、TIARAの40及び65MeV準単色中性子入射によるアクリルファントム内反応率分布を2種類の検出器で測定した。U核分裂反応率分布について、19.6MeV以上の中性子輸送をHETCコード、それ以下をMORSEコードとHILO86群定数で計算した結果、深さ25cmでは、実験値より約25%過大となった。一方全てのエネルギー領域をMORSEコードとHILO86群定数で計算した結果、深さ25cmにおいても実験値とほぼ一致した。また反跳陽子型の固体飛跡検出器の反応率分布についてMORSEコードで計算した結果、40MeV中性子入射、深さ15cmから25cmの範囲では実験値とほぼ一致するが、65MeV中性子入射では1~3割程度過大となり、用いた検出器応答関数などについて検討が必要であることが判明した。
中島 健; 赤井 昌紀
Nuclear Technology, 113, p.375 - 379, 1996/03
被引用回数:5 パーセンタイル:45.11(Nuclear Science & Technology)種々の中性子スペクトル場における核計算手法の精度を調べるために、4種類の軽水減速UO燃料格子の修正転換比(MCR:U捕獲反応率の全核分裂率に対する比)を測定した。本測定では、軽水臨界実験装置TCAで照射した燃料棒内に蓄積したNpとCeの線スペクトルを非破壊的に測定し、U捕獲と全核分裂の相対反応率を求める。測定した格子の減速材対燃料体積比(Vm/Vf)は1.50(減速不足)から3.00(減速過剰)の範囲である。測定したMCRは、0.4770.014(Vm/Vf=1.50)、0.4340.013(1.83)、0.3830.011(2.48)及び0.3560.011(3.00)であった。JENDL-3ライブラリを用いたモンテカルロ計算は、稠密UO格子と同様にMCRの増加に伴い過大評価する傾向を示してはいるが、全ての炉心に対して実験値と良く一致した。
桜井 健; 根本 龍男
JAERI-Research 95-054, 36 Pages, 1995/08
原研FCAに構築した1つのMOX燃料高速炉模擬体系と2つの金属燃料高速炉模擬体系において、増殖性能指標として重要なU捕獲反応/Pu核分裂率比(C8/F9)とU捕獲反応/U核分裂率比(C8/F5)の測定を箔放射化法により行い、セル平均の反応率比を実験誤差2~3%(1)で求めた。解析はJENDL3.2核データライブラリーに基づくJFS3-J3.2群定数セットを用いて行った。さらに、用いた箔放射化自体の実験精度の確認を目的として、京都大学研究炉重水設備の標準熱中性子場においてC8とF5反応率を実験誤差1~1.5%で測定した。測定結果を、精度良く評価されている熱中性子断面積と熱中性子束より得た反応率(基準値)と比較した。FCAの3つの模擬炉心いずれにおいても、計算と実験値の比(C/E)は、C8/F9に関しては1.01~0.99であり、C8/F5に関しては1.02~1.01であった。標準熱中性子場におけるC8及びF5反応率の測定値は、それぞれ基準値と実験誤差内で一致した。
今野 力; 前川 藤夫; 大山 幸夫; 池田 裕二郎; 宇野 喜智; Verzilov, Y.*; 和田 政行*; 前川 洋
JAERI-Research 95-017, 71 Pages, 1995/03
94ITER/EDAのタスクとして、SS316/水複合系に対するバルク遮蔽実験を行った。この実験の目的は、D-T中性子に対するSS316/水遮蔽体の遮蔽性能に関する実験データを取得し、最終的に遮蔽設計裕度を導出することである。実験体系のテスト領域は、SS316と水の層状構造で、直径1200mm、厚さ1372mmの円筒形状をしている。i)MeV、keV、eVエネルギー領域の中性子スペクトル、ii)中性子放射化反応率、iii)核分裂率、iv)線スペクトル、v)線発熱率のデータを体系表面から体系内914mmの深さまで測定した。追加遮蔽体を付加することにより、914mmの深さでも実験室の壁反射バックグラウンドの影響の小さい実験データを取得することができた。以前に行ったSS316バルク遮蔽実験結果との比較から、SS316中の水の遮蔽性能に及ぼす効果を調べた。実験解析は、別に第2部で述べられている。
今野 力; 前川 藤夫; 大山 幸夫; 池田 裕二郎; 小迫 和明*; 前川 洋
JAERI-Research 94-043, 96 Pages, 1994/12
SS316は、ITER等の核融合炉次期装置の遮蔽材・構造材の最有力候補の一つである。94ITER/EDAのタスク(T-16)として、D-T中性子に対するSS316のバルク遮蔽性能を調べるベンチマーク実験を行った。実験体系は、直径1200mm、厚さ1118mmのSS316製円筒体系(テスト領域)で、D-T中性子源から300mmの位置に設置した(体系1)。また、核融合炉の中性子場を模擬するため、D-T中性子源の周りを厚さ200mmのSS316で囲んだ体系(体系2)も用いた。測定項目は、i)MeV、keV、eVエネルギー領域の中性子スペクトル、ii)中性子放射化反応率、iii)核分裂率、iv)線スペクトル、v)線発熱率で、体系表面から体系内914mmまで測定を行った。得られたデータを相互比較し、実験データの整合性、中性子反射体の効果を調べた。実験解析は、別に第II部で述べられている。
中島 健; 赤井 昌紀; 山本 俊弘; 橋本 政男; 須崎 武則
Journal of Nuclear Science and Technology, 31(11), p.1160 - 1170, 1994/11
被引用回数:7 パーセンタイル:56.56(Nuclear Science & Technology)U-235核分裂率に対するU-238捕獲反応率比(C8/F5)を4種類の稠密格子炉心1.42S,1.00S,0.75S及び0.56Sにおいて測定した。炉心は中央部に稠密格子のテスト領域を有し、周りを通常の格子のドライバ領域が囲んでいる。テスト領域の減速材対燃料体積比はそれぞれ1.420,1.000,0.750,0.564である。測定はウラン金属泊をテスト領域中心にある燃料棒内に設置して行われた。また、1.42S炉心と0.56S炉心では、C8とF5の燃料棒内半径方向の相対反応率分布の測定も行った。測定値に対する計算を連続エネルギーモンテカルロコードVIMとJENDL-2ライブラリ及びSRACコードシステムとJENDL-2,JENDL-3ライブラリにより行った。C8/F5の計算値は実験値を過大評価しており、その差は稠密になるとともに大きくなっている。反応率とその分布の計算値を実験値と比較した結果、ウラン238の共鳴捕獲断面積が過大評価されている可能性が示された。
小川 俊英; 大麻 和美; 星野 克道; 小田島 和男; 前田 彦祐
JAERI-M 94-021, 45 Pages, 1994/02
Microwave Tokamak Experiment(MTX)で行なった中性子計測について、MTXトカマクでの較正実験結果とMTXプラズマの中性子測定結果を報告する。中性子計数管とポリエチレン中性子減速材を用いた全中性子発生率測定系は、当初の設計通りに10個/秒以上の中性子発生率領域に対応できた。Cf中性子線源をトカマク真空容器内に置いて較正実験を行ない、検出器の感度係数を決定した。ジュール加熱時のプラズマから110個/秒程度の中性子発生率が測定され、輸送解析コードによる計算と良い一致を示した。プラスチック・シンチレータを用いた高時間分解能測定系は、測定精度を確保できる範囲内で、200マイクロ秒までの時間分解能が得られた。しかし、ピーク出力1GW、パルス幅20ナノ秒程度のFELマイクロ波に対する応答速度としては十分でなく、FELマイクロ波入射時のイオンの応答は検出できなかった。
松本 実喜夫; 遠藤 泰一; 伊藤 治彦; 板橋 行夫; 猿田 徹; 横内 猪一郎; 安藤 弘栄
JAERI-M 92-212, 62 Pages, 1993/01
高温ガス冷却炉(HTGRs)の設計及び安全解析において、燃料から放出する核分裂生成物(FP)の1次冷却系への沈着・離脱挙動を把握することは重要である。JMTRでは、高温工学試験研究炉(HTTR)用燃料照射研究に用いている高温ガス冷却ループ照射装置(OGL-1)の1次冷却系に沈着するFP分布測定を原子炉運転中及び停止後にわたって行ってきた。その結果、ヨウ素の沈着が温度上昇に対して指数関数的に減少すること、表面が冷却されている2基の再生熱交換器に系内全ヨウ素の60%が沈着することを明らかにした。また、燃料照射温度が1500Cの場合、ヨウ素放出率は1300Cの約100倍になることを確認した。更に、本報では、原子炉運転中と停止後によるFP沈着・離脱に係る系内ヨウ素分布の変化について報告する。
今野 力; 前川 藤夫; 池田 裕二郎; 大山 幸夫; 小迫 和明*; 前川 洋
Fusion Technology, 21(3), p.2169 - 2173, 1992/05
ITERのような次期核融合装置の遮蔽設計の精度向上を目指し、原研FNSにおいて、一連の核融合遮蔽実験を開始した。その第1段階として、SS316を用いたバルク遮蔽実験が行なわれた。実験には2つの体系が使われた。一つは、SS316の円筒体系(直径1.2m、厚さ1.12m)で、D-T中性子源から0.3mの距離に設置された。もう一つは、D-T中性子源を囲む厚さ0.2mのSS316のソースキャンを追加したものである。体系内中性子スペクトルが、小型反跳陽子ガス比例計数管と14NE213を用いて測定された。ガンマ数スペクトルは40NE213を用いて、線核発熱率はTLDを用いて測定された。また、中性子スペクトルの指標として、U・Uの核分裂率及び放射化反応率分布も測定された。得られた実験データをもとに、次期核融合装置の遮蔽設計で用いられる核データと計算コードの妥当性がチェックされ、遮蔽設計の精度が向上すると期待できる。